●TM NETWORK「DEVOTION」収録アルバム
DEVOTION(Like a TIME TO COUNT DOWN Ver.)
■作詞・作曲:小室哲哉 ■歌・編曲:IRON FOX(アイアン・フォックス)
オリジナルソング「DEVOTION」TM NETWORK ©2023 by Sony Music Entertainment(Japan)Inc.
■制作・文:IRON FOX
今回ご紹介する曲は、来年2024年のデビュー40周年に向けて発売された「TM NETWORK」のアルバム「DEVOTION」の中から表題曲「DEVOTION」となります。
コンセプトとしましては1990年、「TM NETWORK」から「TMN」に改名した時に発売されたシングル「TIME TO COUNT DOWN」をモチーフにしたハードロック調のアレンジ…ということで、時空を超えたコラボ作品となります☆
そして今回、この作品を制作しようと思ったきっかけというのが…実は自分でもよくわからないんです…。昨今のレトロブームの影響なのか、あるいはU.F.Oにさらわれたせいなのか…。でも、すでに制作前から頭の中では完成形がハッキリと見えていました…なんてプロっぽい発言をしてみたりして…💧
TMN(TM NETWORK)のアルバム「RHYTHM RED」と同時期に発売された、小室氏プロデュースのシンセサイザー「YAMAHA EOS B500」(下画像①)をそれまで使ったことがなかったお年玉をはたいて購入し、毎朝学校に行く前の忙しい時間に「TIME TO COUNT DOWN」の打ち込みをして、たびたび遅刻していたことを今、思い出しました…。
「RHYTHM RED」の曲で使用された音をシミュレートした音が入った別売りのボイスカード(下画像➁)も購入し、とりあえず楽譜通りに曲を打ち込めば、それっぽく聴こえるというありがたい代物もあったのですが、初めは曲のスケール(調)の意味もわからず、各音符の横に「♯」や「♭」が付いていなければ白鍵の音で打ち込み、あとから聞いたらそりゃもうすごい違和感…なんてこともありましたとさ💧
そういえばライブでの小室氏を真似てスピーカーの上に乗ったらスピーカーのカバーがへこんで私自身もへこんだりしましたが、今ではいい思い出です…。
前置きが長くなってしまいましたが…それでは原曲とは全く違う雰囲気の「DEVOTION」、お聴きください、どうぞ☆
画像①
画像➁
■Youtube
【TM NETWORK カバーソング】「DEVOTION(Like a TIME TO COUNT DOWN Ver.)」IRON FOX
→https://youtu.be/2pCe-vgSu40(こちらで曲が聴けます。)
使用機材・ソフト
インストパート
・KORG TRINITY
・KORG KARMA(ピアノ・ベース)
・ROLAND JV-1080(バスドラ・スネア・ピコピコ音)
ボーカル録音
・KORG SOUND on SOUND
ミックスダウン(PCソフト)
・Cakewalk by Bandlab
・Sound Engine
・iZotope RX8
・Vocal Shifter SE
各パート説明
BPM(テンポ)
当初は「TIME TO COUNT DOWN」のBPMが150(「DEVOTION」は140)なので、それにならって150にして曲を作っていたのですが、歌を合わせてみるとかなり慌ただしい感じがしたので最終的に間を取って「145」にしました。
ちなみに今回は今から30年ほど前に発売された、TM NETWORKのアルバム「RHYTHM RED」のスコアを参考にしながら制作したのですが、スコアあるあるの“1番と2番のサビの楽譜が同じ”であったり、どう聞いても楽譜と違う箇所が多すぎたので、スコアはあくまで参考にするだけにとどめて耳コピしました…💧(今はPCで簡単にBPMを落としたり、それぞれの楽器の周波数帯域を強調したりできるのでスピーカーに耳をあて、神経を研ぎ澄まして聞いていた昔よりは、かなり楽になりました。)
イントロ①(ピアノ+ストリングス)
この部分は、キーを変えたこと以外は「TIME TO COUNT DOWN」のままです…。「DEVOTION」のキーはEメジャー、「TIME TO COUNT DOWN」のキーはDメジャー(AメロはB♭メジャー)なのでキーを合わせるために2つ上げています。
ピアノとストリングスを弾いた時もイントロの中盤辺りでダイナミクス(強弱)をつけていたのですが、まだ音量の差がもの足りないと思い、ミックスダウンの時にさらにオートメーションレーンでボリュームの調整をしました。
イントロ➁
「TIME TO COUNT DOWN」ではストップウォッチの音で始まるこの部分を、原曲「DEVOTION」のシンセベース(E音)のパターンに変更しました。そしてセクシー?な「デボーション」という声でメインパートが始まります。
ギターのリフは、「DEVOTION」のイントロ部分(サビも同じコード進行)は2小節単位でコードが変化していくので、1小節ごとにコードが変わる「TIME TO COUNT DOWN」のリフのリズム※1をなるべく崩さないように2小節のギターリフパターン※2を作って変更しました。
※1 「TIME TO COUNT DOWN」イントロ➁ ギターリフのリズムパターン(1小節パターン)
※2 変更後の「DEVOTION」イントロ➁ ギターリフのリズムパターン(2小節パターン)
ドラムパターンは「TIME TO COUNT DOWN」のままです。4小節足りなかったので、その部分だけは伸ばしました。それと全体を通して鳴っているシーケンス音(ピコピコ音)は「TIME TO COUNT DOWN」を聴くと、音程が他の音より少し低い気がしたので、この音だけキーをデチューンでわずかに下げたんでちゅーん………スイマセン💧(「ROLAND JV-1080」のFINE TUNEで-45下げました。)
それと今回モチーフにした「TIME TO COUNT DOWN」は、ギターやドラムなど生演奏の曲なので、原曲に近づけるようにギター、ベース、ドラムなど、バックで鳴っているシンセのピコピコ音以外はリアルタイムで打ち込んでいます。クオンタイズもかけすぎないようにし、ドラムの各音色はベロシティの強弱も普段より大きくつけてあります。
8分で刻んでいるハイハットなども、実際にドラムを叩いたらスネアと重なっている箇所は音が大きくなるので、ベロシティの数値を意識しながらドラマー気分でリアルタイム録音しました。※3)
※3 ハイハット・スネアドラム ベロシティ数値(目安)[最大127]
1コーラス Aメロ
全体を通して出来る限り「TIME TO COUNT DOWN」のフレーズやリズムを使っていますので、Aメロもギターのミュート音で力強く刻んでいるのですが、シンセのギターの音だけでは数値を最大にしてもアタックが弱く、音に厚みもない印象で迫力に欠けていたのでシンセリードの音も一緒に混ぜてみました。そのうえでギターのディストーションやアンプシミュレーターのエフェクトをかけているので、シンセリードの音は聞こえません。安心してください!聞こえませんよ!
曲の随所に聞こえるギターのピック・スクラッチ音も、プリセットのギター音色(KORG TRINITY)の鍵盤高音部に配置されていた音です。こういうトリッキーな音はシンセのピッチベンドやモジュレーションでは何ともなりません…💧
今回1番大変だったのは、いかにギターをシミュレートするかという点で、特にフィル・イン的に出てくるハーモニクスやアーミングのプレイは再現が難しかったです…って言うと苦労の末、うまく再現できたみたいですが、再現できたのは雰囲気ぐらいです…。
1コーラス サビ
この部分は「DEVOTION」原曲のイントロ部分(♪No No No~)や、サビのメロディに合わせた特徴的なリズムパターン※4に従い、「TIME TO COUNT DOWN」のギター、ベース、ドラムの譜割りを変更しています。
※4 「DEVOTION」イントロやサビ部分での付点4分音符を並べた特徴的な譜割り(2小節パターン)
「TIME TO COUNT DOWN」のサビよりさらに16小節長い「You always Gimme The Devotion~」からの部分は、「DEVOTION」のサビ、前半部分(♪最善を僕らは尽くす)のギターやドラムのパターンをさらに繰り返してしまうとコード進行がずっと同じこともあり飽きてしまうので雰囲気を少し変える意味で「TIME TO COUNT DOWN」のAメロ①(♪What do you think is going on?~)とAメロ➁(♪嵐のように~)の間のツーバスを踏んでいるコーラス(♪La La La La La~)部分の雰囲気にしました。
間奏
「TIME TO COUNT DOWN」では「D」→「A」・「C」→「G」(ここまで2小節)のコード進行だった部分を「DEVOTION」のコーラスやサビで使われているコードで「A」→「C#m」・「E」→「B」に変更し、他の箇所のキーも曲の流れに合うように変えました。
2コーラス Aメロ
「TIME TO COUNT DOWN」ではギターのアーミングプレイで一気に加速していく感じを表現しているこの部分を、ピッチベンドの幅を大きくしたトラックを別にもう一つ用意して再現しました。
元の曲では8小節でサビに行きますが、「DEVOTION」のAメロは16小節あって足りないので、「TIME TO COUNT DOWN」のAメロ①(♪What do you think is going on?~)を繋げて16小節にしました。
ギターのアルペジオを再現している箇所は、ピアノの音色を弾く時に使うサスティンペダルを使用しています。ギターの音色によって音が濁りすぎる場合は使うのをやめるので時と場合によるんですがアコースティックギターの時は、ほとんど使用してます。
2コーラス サビ
「DEVOTION」では使われていませんが「TIME TO COUNT DOWN」のラストサビでは当時、小室氏のお得意技であった“ラストサビ、キー半音上げ”が使われてますので、コーラス(♪No No More~)を付け加えたサビを半音上げて繰り返すことにしました。
そういえば近年の曲ではこの技?あまり多用されていない印象ですが、間もなく発売される『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』オープニングテーマの「Whatever Comes」では使われてる気がします☆ (インスト曲ですが、アルバム「DEVOTION」収録の「End Theme Of How Do You Crash It?(Studio Mix)」ではメインテーマのパートが最後の辺りで上がっていました。)
アウトロ
この部分は「DEVOTION」のスケールに合わせるためにキーを2つ上げましたが、あとは「TIME TO COUNT DOWN」そのままです。楽譜も一応見ましたが、やはり聴いた感じとあちこち…英語で言うと“here and there”違うようなので、またもや耳コピでした…💧
●ミックスダウンに関しては、人に教えられるレベルには到底達しておらず、試行錯誤で四苦八苦のヘナチョコなので割愛させていただきます…。基本的にはコンプレッサーやEQなど、ボーカルや楽器ごとにプリセットの中から選んで少し数値を変えたり、立体感が出るようにパンニングを気をつけたり、周波数の帯域がなるべく被らないようには意識しました。
最後に…
長々と説明をしてきましたが、この記事が誰かの役に立つのか、今さらながらとても心配になってきました…。機材も古い…いや、ビンテージものなので参考にならないし…というか、すでにほとんどの方がソフトシンセに移行してるような気もしますが、TM NETWORKがきっかけで音楽を始めた人間としては、やはり実際に両側に分けて配置したシンセを両手を広げて演奏したくなってしまうものです…形だけでも。※個人の見解です。
一応、パソコンを使って去年の暮れごろからミックスダウンを始め、かろうじてDTMをかじったような感じですが、まだまだチンプンカンプンです…。
そうだ!?…いつか犬を2匹飼ったら「チンプン」と「カンプン」にしよう☆…と思ったところで今回は、お開きにしたいと思います。ありがとうございました。さて次回はTM NETWORKのどの曲を作ろうかなー?…って、ここはガンダムがメインのブログだったような…ではまた💧
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Whatever Comes / TM NETWORK
『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』オープニングテーマ
●挿入歌「DEVOTION(Radio Edit ver.)」収録
■価格:
[初回生産限定盤 CD+Blu-ray・デジパック仕様・ステッカー封入]2,500円(税込)
[通常盤 CD]1,500円(税込)
■発売日:2023年9月6日
■CD収録曲( ※初回・通常共通)
1:Whatever Comes
2:DEVOTION(Radio Edit ver.)
3:Whatever Comes(Back Track)
4:Get Wild -2023 REMASTER-
■Blu-ray(初回のみ)
「Whatever Comes Opening Edit」(90秒:スペシャルムービー)
「DEVOTION」(90秒:リリックビデオ)
「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」本予告(90秒)