●TM NETWORK デビュー40周年(2024年4月21日)に向けたアルバム
「CAROL SUITE PT.Ⅲ(キャロル 組曲 パート3)」
「In The Forest(君の声が聞こえる)/ Reprise」作詞 小室みつ子・作曲 小室哲哉
※オリジナルタイトル「In The Forest(君の声が聞こえる)」
「Gigantica」作曲 小室哲哉
「Fighting」作曲 小室哲哉
「Just One Victory(たったひとつの勝利)」作詞・作曲 小室哲哉
歌・編曲 IRON FOX(アイアン・フォックス)
オリジナルアルバム「CAROL A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991」TM NETWORK ©1988 by Jun & Kei Music Publishers,Inc.
制作・文 / IRON FOX
いよいよ最終章の「PT.Ⅲ」となりますが、ずいぶんと手こずってしまい前作「PT.Ⅱ」から、かなりの時間が経ってしまいました💧
当初は「In The Forest」と「Just One Victory」、2曲の構成のつもりでしたが、今回の「CAROL SUITE」では「CAROL」という物語を曲とリンクさせて再現することをコンセプトとして制作していますので、やはりキャロルが森の中で迷い(「In The Forest」)、その後いきなりエンディング(「Just One Victory」)ではストーリーが成り立たないため急遽、ボス戦の曲を追加することにしました。
オリジナルアルバムにはラスボスと戦うシ-ンの曲は収録されていないので、TM NETWORKのライブツアー「TM NETWORK TOUR ’88~’89 CAROL A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991」等で演奏された曲「Fighting」を…どうせなら同じくアルバム未収録の曲「Gigantica(ジャイガンティカ)」も組み込もうと思い、そうこうしていたら遅くなってしまいました…。あっ!?あと動画用の画像も作ってたり…パソコンの調子が悪かったり…持病の腰痛もあって…などと全力で言い訳をしています…💧
新たに2曲を組み込んだので「PT.Ⅰ」、「PT.Ⅱ」に続き、またもや長尺の曲となってしまいましたが、「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」のバランスは取れたので結果的には、まぁ良かったかなと…おっと!?曲の時間も前置きも、だいぶ長めになってしまいました…。では早速、お聴きください☆
■Youtube
【TM NETWORKカバーソング】「CAROL SUITE PT.Ⅲ(キャロル 組曲 パート3)」IRON FOX
→https://youtu.be/mQ3_4XEAeOg(こちらで曲が聴けます。)
各パート説明
In The Forest(君の声が聞こえる)/ Reprise
オリジナルアルバム同様、曲途中のインストパート(8分の5拍子)のあとに繰り返す「In The Forest」のサビ部分になります。
前作「PT.Ⅱ」のラストがギター(ロングトーン)のフェードアウトで終わっているので「PT.Ⅲ」はギターのフェードインから始まります。タイトルにもあるように森の中が舞台なので、森の雰囲気が出るような音色を「KORG KARMA」(年代物💧)のプリセットの中から2つ選び、重ねて加えました。
その後のサビの部分は「PT.Ⅱ」の時との違いを出すために最初の8小節はアコースティックギターがメインの静かな雰囲気にし、9小節目から一気に盛り上がって次の曲へと繋がっていきます。
ちなみに曲名に付いている「Reprise(リプライズ・リプリーズ)」とは「反復」、「繰り返し」といった意味で、以前出てきた曲を別場面で使ったり、曲調を変えて繰り返すことを指します。
Gigantica
※「Gigantica」と「Fighting」の2楽曲は、TM NETWORKの架空のライブを再現したアルバム「COLOSSEUMⅠ・Ⅱ」(下画像)に収録されています。(オリジナルアルバム「CAROL A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991」には収録されていません。)
オリジナルアルバムでは、主人公「キャロル」が異世界に迷い込みラビリンスを抜け、森の中でさまようシーンの楽曲「In The Forest」のあと、突然「Just One Victory」が流れてエンディングを迎えてしまうので、まずはその間の抜けているラスボスとのバトルシーンの曲「Fighting」を組み込むことにしました。
その流れで、もう1つの未収録曲「Gigantica(ジャイガンティカ)」も入れようということにしましたが、この曲はサビのような曲を印象付けるようなフレーズがないので、最終的には曲の頭に入っている同じようなフレーズの繰り返し部分をピックアップしてアレンジしました。
前の曲「In The Forest」との曲間には、組曲全体としての統一感を出したかったので「CAROL」オープニング曲「A Day In The Girls Life」のイントロ部分を取り入れました。8分音符で「BDEBDE(シレミシレミ)…」と続いていくマリンバのような音色のシーケンスフレーズは、この曲の最後まで続いていきます。(「E」メジャーのこの曲に繋げるため、前曲「In The Forest」の最後のコードは「E」に変更しました。)
この曲のスケールは「E」メジャーですが、スケールにはない「F」や「A#」の音が出てきたり、「E」のベース音の上にディミニッシュのコードが乗っかっていたり…とコードを付けづらい楽曲なので、度々出てくる「F」の音が含まれる「E」のアラビア音階でアレンジしました。(敵側のあやしい雰囲気も出ます。)
それと効果音として「CAROL」ライブツアーの劇中、敵兵が持っている杖を地面に突き立てる音もハンマーの音色をエディットして入れました。「こんなハンマーの音、いつ使うんだよー!」と思っていましたが、今でした…。さらにラスボス「ジャイガンティカ」の雄叫びのような効果音は「Gigantica」の原曲からサンプリングして入れています。
Fighting
「PT.Ⅰ」と「PT.Ⅱ」の曲最後には毎回、共通フレーズをモチーフとした「CAROL SUITE」オリジナルパートが入っているのですが、今回は前曲「Gigantica」とこの曲の間に入れました。8分の5拍子のこの曲に繋がるように8分の6拍子から8分の5拍子へと変わっていきます。曲始めの「Ahh」というコーラス部分は「PT.Ⅰ」の「Chase In Labylinth」サビラストの部分です。誰も気づかないですね…💧
それと大きな声では言えませんが…オルガンパートが入る前のストリングスがフェードインしている部分は、前にも少しご紹介した海外のプログレバンド「EL&P(エマーソン レイク アンド パーマー)」の珠玉のアルバム「TARKUS(タルカス)」(下画像)イントロ部分の多重コーラスパートをすごく意識しています…。
この曲は、オリジナルアルバムの「In The Forest」のインストパート(8分の5拍子の部分)とほぼ同じ曲なので、その部分のストリングスパートも加えました。
そして最後、サンプリングしたラスボスの叫び声と爆発音の後、徐々にBPMを落として「A Day In The Girls Life」の曲最後4小節をアレンジしたパートに繋がり、めでたしめでたし…という感じにしました。
Just One Victory(たったひとつの勝利)
ストーリー上ではラスボスに勝利し、平和を取り戻したあとの楽曲なので舞台劇のカーテンコールや映画のスタッフロールのようなイメージの曲ですね。
今回の「PT.Ⅲ」は組曲のオーラスなので本来、一番盛り上がらなければいけないのに、歌の割合が少なく物足りない感じがするので「Just One Victory」は、やや長めに組み込むことにしました。
原曲では2コーラス後に「Chase In Labyrinth」のパートが登場しますが、さすがにそこまで再現すると曲が10分を超えてしまうので残念ながら入れませんでした。
曲のラストは、これまた上でもご紹介した「EL&P」のアルバム「恐怖の頭脳改革」(下画像)収録曲「悪の教典#9 第一印象パート2」を強く強~く意識し、シンセリードのピッチ上昇やティンパニーの音色を取り入れました。やってみたかったんです☆
そしてこの同じ部分に「CAROL」の物語の最初に盗まれた音であるイギリスの大時計「ビッグ・ベン」の鐘のメロディを“奪われた音を取り戻した”という意味で入れてみました。(学校のチャイムでおなじみの、あのメロディです。)
最後に…
まだまだミックスダウンのほうは問題が山積みで、今ぶち当たっている壁は周波数の住み分けと言うんでしょうか、周波数がぶつかり合って互いの音をマスキングしてしまう問題です…。
少し仕組みが分かってくると、いろいろいじりだして深みにハマってしまい、逆に完成度が低くなったりします…。それもあって今回は予定よりも大幅に遅れてしまいました…💧
私は「Cakewalk」でミックスダウンの作業を行っていて、毎回ソフトを立ち上げデータやプラグインを読み込み終わる時にランダムで一言メッセージが表示されるんですが、その中ですごく心に刺さったメッセージがあったのでご紹介したいと思います。
「ミックスに完成はない。見切りをつけるだけだ!」
けっこう強めの圧で言ってきますが、モノ作りをしている方には響く言葉ではないでしょうか?私も「まだダメだ…もっと良くしなければ…」と、いつまでたっても完成しないという状況によく陥ってしまいます。今回のように…💧
大事なのは制作している時点での自分の実力で完成させることで、プロの方の楽曲と比べていたら終わりませんからね…。時間をかけすぎて手直ししていると自分自身が聴きすぎて飽きてしまい、違う方向に進んでいってしまうこともありますし…何事も、ほどほどですね。腹八分です。締切がないアマチュアこそ気を付けなければいけないと、つくづく思いましたとさ…。それではまた☆
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