
GUNDAM MUSIC COLLECTION
「アニメじゃない -夢を忘れた古い地球人よ-」(『機動戦士ガンダムZZ』主題歌)IRON FOX
■作詞:秋元康 作曲:芹澤 廣明 ■歌・編曲:IRON FOX(アイアン・フォックス)
オリジナルソング「アニメじゃない -夢を忘れた古い地球人よ-」新井正人 © 1986 by SUNRISE MUSIC INC.
■制作・文:IRON FOX
“ミックスダウン…それは無限に続く、終わりのない作業”…今の私のスキルではこんなイメージです。…というわけで、毎週のガンダムホビーのニュース以外、活動していないんじゃないかと思われているかもしれませんが、実はここしばらく、曲のミックスダウンに悪戦苦闘していました💧
今回選んだガンダムソングはアニメの放送時、どれだけの人が「どう見てもアニメだろー!ムキー!」…と突っ込んだわからない『機動戦士ガンダムZZ』の主題歌、「アニメじゃない」をアレンジさせていただきました。(正確には副題として「夢を忘れた古い地球人」が、その後に続きます。)
しかしこの「アニメだろー!」…と突っ込んだ時点で、してやられちゃってたんです…秋元康氏に。アラフィフになった今の解釈では…大人になると物事を自分の経験則でしか考えられなくなり、理解できないことは頭ごなしに否定してしまう…そんな型にハマったオールドタイプでは、お互いを分かり合うことなんて出来ないよ…という、宇宙世紀の「ガンダムシリーズ」のテーマでもある“ニュータイプ”にも繋がるメッセージなんだと受け止めています。
この歌詞の意味は「夢を忘れた古い地球人」…という副題に全て集約されているのではないでしょうか?考えれば考えるほど意味が深そうなタイトルの曲「アニメじゃない」…。カバーアレンジした曲は軽い気持ちで聴いてみてください。どうぞ☆
■Youtube
【ガンダム カバーソング】「アニメじゃない -夢を忘れた古い地球人よ-」(『機動戦士ガンダムZZ』主題歌)IRON FOX
使用機材・使用ソフト
■使用機材(インストパート)
・KORG 01/W FD(シーケンサーのみ使用 ※音源は使用していません。)
・KORG TRINITY V3 pro
・KORG KARMA
・ROLAND JV-1080+EXPANSION BOARD
(SR-JV80-04 VINTAGE SYNTH・SR-JV80-06 DANCE・SR-JV80-11 TECHNO COLLECTION)
■使用機材(ボーカルパート)
・KORG SOUND on SOUND(ボーカル録音)
■DAWソフト
・Cakewalk by BandLab(ミックスダウン)
■その他の使用ソフト
・Sound Engine(曲前後の不要な部分をカット等)
・Vocal Shifter LE(ピッチ・ボリューム補正)
・iZotope RX8 Elements(ボーカル音源ノイズ除去)
(カバーソング制作当初から変わっていません…💧)
曲説明
全体
全体的な方向性としては、原曲のイメージをあまり崩さないようなアレンジにしたつもりです。曲全体に流れているブラスサウンドも一部、他の楽器の譜割りやコードに合わせて変更していますが、基本的には原曲のフレーズをそのままコピーしました。さらに原曲の始めの部分に入っている8ビートのドラムパターン(ズズタタ・ズズタタ…)をサンプリングし、各箇所に取り入れオリジナルの雰囲気も感じられるようにしてあります。
構成として、2コーラス目のBメロまでは原曲通りですが、その後サビに行く前にギターソロが入り、最後にサビを2回繰り返してアウトロへ…という流れになります。ギターとシンセリードのソロを入れたかったため、ソロを含めて原曲通りに進行すると、全体としてかなりの長尺になってしまうため、2コーラス目のサビを1回分、省いた形としました。それでも原曲のBPM150を145に落とした影響もあり、曲時間は6分弱となってしまいました…。
キーは原曲(Cマイナー)より4つ下げてあります。久しぶりの歌入れに加え、おそらく歳のせいもあり、高い音が出ませんでした。「俺も、もうロートルか…」と言ったバニング大尉(『0083』)の気持ちです💧(ちなみに、この時のバニング大尉は39歳…。)
ここからは各パートごとの説明を簡単にしていきたいと思います。
イントロ
・イントロ①[BPM108](00:18)・イントロ➁[BPM145](00:48)
※()内はYoutube動画での目安の時間です。
頭のピアノのフレーズは、原曲の最初の「アニメじゃない」と歌う直前の2小節のフレーズを2回繰り返したものです。その後のスローテンポ(BPM108)のバンドサウンドは、原曲の頭に流れる怪しげなコード進行「Cm→F#」の部分を4回繰り返し、その後BPM145に一気にテンポアップしてギターリフへと続きます。(イントロ➁)そしてシンセパート、ブラスパート、原曲からサンプリングしたドラムパターンが加わります。
Aメロ
・1コーラス(01:15)・2コーラス(02:53)
1コラース目は、イントロのギターリフ(左)をそのまま引き継ぎ、7小節目、16小節目にはアクセントとなる16分のギターソロ(右)が入ります。
Aメロの繰り返しとなる9小節目からは1コーラス目のみ、シンセ(右)のフレーズも加わります。この部分に流れているブラスパートは、原曲をそっくりそのまま耳コピしたものです。
2コーラス目のAメロは、1コーラス目と雰囲気を変えるため、ギターは同じ音を16分で刻むリズムがメインのパートとなります。ベース、ドラムのバスドラも同じリズムでユニゾンしています。
そしてさらに1コーラス目との差別化を図るため、Aメロ繰り返しとなる部分の9小節目から12小節目までは、ボーカルをラジオボイスのような低域をカットしたものに変更し、2小節ごとに左側、右側と聞こえるようにしました。決して左から右へと受け流してはいけません…。
Bメロ
・1コーラス(01:43)・2コーラス(03:21)
このパートは原曲同様、今まで2拍目4拍目に打っていたスネアも3拍目だけとなり、テンポを半分に落としたかのような、ゆったりとした感じになっています。左側のギターはAメロに続き、激しめのディストーションギターで主にパワーコード(1度+5度)を弾き、右側のギターはクリーントーンのアコースティックギターに近い音色のアルペジオへと差し代わります。その上に初登場のストリングスを重ねてゆったり感も増し、サビ前からは原曲と同じくブラスサウンドが入ります。
2コーラス目も1コーラス目と同じように聞こえますが一応、ギター、ベース、ドラムスは1コーラスと違うフレーズとなっています。その後のギターソロ直前の2小節間は基本リズムを3連符に変更し、そのリズムに合わせてブラスパートも原曲とは違うロングトーンのフレーズに変え、他の全てのインストパートも3連のリズムに沿ったものに変えています。
サビ
・1コーラス(02:09)・2コーラス①(04:27)・2コーラス➁(04:54)
サビでは、左右のギターはユニゾンで弾いていますが、繰り返しとなる9小節目からはギター(右)はハードロックやメタルサウンドでは定番の3度上を弾いてハモっています。
上モノとして、1コーラス目は低音のピアノとオルガン、2コーラス目はコーラスサウンドの音色とオルガンが入っています。(2コーラス①)なるべく同じことの繰り返しにならないように心がけています。実は疾走感を出すため、16分で刻んだパーカッションのシェイカーも加わっていたりもいます…。
2コーラス目の、サビ全体の繰り返しとなる最後の部分(2コーラス➁)は、ストリングスを加えたBメロと同じくテンポを半分としたようなパートになりますが、左右に分かれたシンセリードとギターは16分の早いアルペジオを弾いています。
ここまでのサビのハモリパートは左右、上と下で分かれて歌っていますが、この部分だけはシンセリードとギターの左右のアルペジオパートを邪魔しないよう、メインボーカルの1オクターブ下のパートを一声、重ねています。
「アニメじゃない」というロボットのような声ですが、原曲ではおそらく当時多用されていたボコーダーが使われていると思いますが、そのような機能は持ち合わせていないので…まずメインボーカル用に録音した音声の「アニメじゃない」を切り取り1オクターブ下げ、その音声データをKORG SOUND on SOUND(ボーカル録音用)に取り込み、内蔵エフェクト(LILVOICE)をかけて出力し、さらにCakeWalk搭載、VX-64 Vocal Stripのエフェクト(Hook Doubler)等をかけて、それっぽくしている…という、意外と手間暇かかったものとなっております。
間奏パート
・①[1コーラスサビ後](02:40)・➁[ギターソロ後](04:14)
原曲のサビの後にもある間奏パートをベースにしていますが、2小節単位でキーを上げながら繰り返される原曲のブラスサウンドのフレーズをベースとギター2本のパワーコード(1度+5度)もユニゾンで弾いていますので、力強さが増したアレンジとなっております。「パワー☆」
さらに、この間奏パートはスピード感のあるサビと差別化するため、重くてヘビーな感じ(意味一緒…。)も出したかったので、ドラムはBメロと同じくスネアを3拍目にずらし、テンポを半分に落としたようにしています。
ギターソロ
・①(03:48)・➁(04:01)
2コーラス目Bメロの後からのギターソロですが、1~8小節目(①)まではイントロなどで繰り返し登場するギターリフをメインとしたバッキングでソロを弾いています。派手なブラスサウンドはギターソロの邪魔になるので省略しています。そしてこのギターリフが鳴る他の部分とは雰囲気を変えるため、ドラムはドコドコ、ツーバスを踏んでいます。
9~16小節目まで(➁)は、イントロのピアノパート後のバンドサウンド部分と同じコード進行となります。(原曲:Cm→F#)ギターリフを弾いていた左側のギターはロングトーンのパワーコードを弾き、右側では引き続きギターソロを弾いていますが、ドラムもソロを叩いちゃっています。もはやソロではありません…💧
そして1コーラス目のサビ後と同じ間奏パートへと繋がり、2コーラス目のサビへと繋がっていきます。
アウトロパート
・①[シンセリードソロ](05:29)・➁(05:44)
ラストのサビの「♪本当のことさ」を2回繰り返した後からのパートですが、テンポが遅くなった3連リズムのように聞こえますが、実はBPMは145のままなんです。2小節毎に1/4小節(1拍)を足し、8分音符3つを3連のリズムと考えたフレーズにしているため、BPMが落ちたように聞こえます。よく聞くとギターリフのフレーズは、イントロやギターソロのバックなどで何度も登場するフレーズに1/4小節、付け足したものになっています。遊び心のギミックと言いましょうか、個人的な趣味の部分です。
そしてそのギターリフをバックに、ギターソロとドラムソロがあればシンセリードのソロも入れたい…ということで私も一応、“自称”キーボーディストですので、少しだけスポットを浴びさせてもらいました。
その後のラスト(➁)は、ここまでくれば多少お馴染みにもなってきたギターリフのフレーズで締めくくります。好みの問題ですが、曲の最後はフェードアウトではなく、毎回「ジャーン!」…で終わるように心がけています。
ミックスダウン
私が使用しているDAWソフト「Cakewalk by BandLab」での話になりますが、ボーカルパートとインストパートで使用したプラグインの一部を載せておきます。(ミックスダウン修行中の身ですので、参考にはならないと思いますが…💧)
※各プラグイン名の()内は、プリセットネームです。設定の数値は変更しています。
●メインボーカルトラック
[Pro Channel]
・COMPRESSOR:(Vocaks – Lead Smooth)・ハモリパート(Vocaks – Back Up Smooth)
・EQ:(Vocals)・ハモリパート(Vocaks – Backup)
・SMOOTHER:35%
・GATER:25%
[Track]
・Sonitus Equalizer×4(4つの内の3つは、Q幅を狭くし、突出して耳につく周波数をカットする用)
・VX-64 Vocal Strip:(Vocal Booth)
・Boost11
出力は、メインボーカルトラック→バストラック(下記)→マスタートラックとなります。
●バストラック
・Sonitus Delay:Delay time 189ms/Feedback 26%/Crossfeed 15%/Mix 10%/Frequency Low 200Hz・High 3027Hz
・BREVERB 2 CakeWalk:(28.Medium Hall/HALL/DRY 3.5・WET -12.5)
●Bass
[Pro Channel]
・COMPRESSOR:(Bass – 01)
・EQ:(Bass – Pick Emphasis)
・TUBE(Bass 01)
[Track]
None
●Guitar(Synth )1[左側]・Guitar(Synth )2[右側]
[Pro Channel]
・COMPRESSOR:(Electric)
・EQ:(Guitar – Electric: Dirtbag)
・TUBE(Guitar – Electric Dirtbag)
[Track]
・Sonitus Equalizer×4(4つの内の3つは、Q幅を狭くし、突出して耳につく周波数をカットする用)
・TH3(Slo 88(US)CH.B DRIVE 4.00/BASS 2.52/MID 5.25/TREBLE 5.00/VOLUME 8.00)
・BREVERB 2 CakeWalk(9.Guitar Studio/ROOM/DRY 1.5・WET -5.0)
●Drums(バスドラム・スネアドラム・タム・ハイハット・シンバル)
[Pro Channel]
・COMPRESSOR:(Drums Bus – Warm)
・EQ:(Drums Bus – 02)
・TUBE(Drums Bus – Warm Slammed)
・CONSOLE EMULATOR CHANNEL(TRIM 0.0dB/DRIVE 1.0dB/TOLERANCE ON)
[Track]
・Para-Q(Default/f 340・GAIN 4.8・BW 3.5/f 2099・GAIN 1.9・BW 3.5)
・Sonitus Equalizer
・Ozone Imager 2(Width 35%/Stereoize 6.0ms/ModeⅠ)
・BREVERB 2 CakeWalk(4.80ies drum grain 2/PLATE/DRY 1.0・WET -8.0)
スネアドラムの周波数帯域と近いメインボーカルとのマスキングを避けるため「Ozone Imager 2」を使用し、ステレオ感を広げてなるべく被らないようにしています。
●Synth Lead(ラスト2回目サビ・ラストソロ)
[Pro Channel]
・EQ(Synth – Warm Lead 01)
・TUBE(Mix Bus – Warm)
[Track]
・BREVERB 2 CakeWalk(4.LonelinessRockHall/HALL/DRY 1.5・WET -5.0)
●Brass
[Pro Channel]
・EQ:(Misc – Low Cut)
[Track]
・Ozone Imager 2(Width 75%/Stereoize 6.0ms/ModeⅠ)
ブラスサウンドもボーカルと周波数帯域が近いので「Ozone Imager 2」を使用し、ドラムス(35%)やインストパートの他の楽器のPANと被らないような数値で広げています。
インストパートは、あらかじめEQ処理されているシンセサイザーの音ですので、オーディオファイルとして録音する前に特別、大きな効果がかかるエフェクト(ディストーション・オーバードライブなど)をかけたシンセ(ギター)やオルガン以外のトラックにはEQは挿していません。
※CakeWalkにてオーディオファイルをエクスポートした後、SoundEngineにて曲の前後、不要な部分をカット→リミッター→ノーマライズ→正負音量差調整→オートバランス→iZotope RX8 Elements(スタンドアローン)のリペアアシスタント機能にてノイズの処理…以上の作業を行っています。
最後に…
今回も例外なく、ミックスダウンにかなりの時間を費やすことになってしまいました…。今のペースだと、年に3曲ほどしか作れない計算になってしまいます。作業をすれば必ず良くなるわけでもなく、きのうは上手くいった気がしたのに、今日は辞めたくなるほどドン底な気分になったりの繰り返しで…きよしのドンゾコ節でした。メンタル面だけは、確実に鍛えられていきますけど💧
今回のミックスダウンではネットの情報でもよく目にする、“Q幅を狭くして耳につく音を探し、音量を絞っていく”…ということに重点を置いてボーカルパートの処理をしましたが、歌入れの録音状態が悪かったせいか、私の声質のせいか、あちこち絞る箇所だらけの絞りたい放題でした。1つで6箇所の設定が出来るEQのプラグインをいくつ挿したことか分かりません…。
本当にこのやり方で合っているのかと不安な気持ちを抱えながらも処理をしていくと、ボーカルはどんどんやせ細り、不自然な声になっていくばかり…悩んだあげく、最終的に一度EQのプラグインを全てリセットし、Q幅を最大まで狭くして12dBほど音量を上げて特別耳につく、キーンとかピューと鳴る箇所は音が聞こえなくなるところまで大幅に下げ、少し気になる程度の箇所は、とにかく音量を下げすぎないよう細心の注意を払いました。
もしかしたら多少のピューは、声を構成する材料として必要なのかとも思い始めましたが、答えは風の中…独学の壁ですね。うーん…教えてくれ、AIアシスタント!「何か、お話しください♥」
…というわけで、気分転換も兼ねて明日からはガンプラの改造作品の制作に取り掛かりたいと思います。ですが今後も曲作りは続けていきたいと思います。今回もかなりの精神的ダメージを受けましたが、たかがメインカメラをやられただけ…まだ戦えます!それではまた、お会いいたしましょう☆(次はガンプラ作品ですけど…💧)

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